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2010年7月

詩/詞 「幻想少女絵巻」

1.
琥珀色の風に抱かれ
堕ち逝く季節に見えるは虚空

幾年幾日 時を越え
織り成す∞に重ねる呼吸

今宵 羽無し天使は森を駆け
乱れ咲く白薔薇に声を捧げる

透ける肌の少年を
経血で穢すのを止めないで
月に踊れ アリスたち
その優しき惨酷が物語になる日まで


2.
茜色の海に溺れ
過ぎゆく奇蹟に忘れた鼓動

幾千幾万 星を数え
溢れる無形の逢瀬悠久

夜毎 夢無き天使は月に舞い
泡沫の黒蝶に恋を預ける

透ける肌の少年へ
接吻の刺青は止まないで
砕け詠え アリスたち
その儚き背徳が永遠になる日まで


Interlude
(壮麗ナ堕落ノ門ヲ
 潜リ抜ケ舞踏場ヘト進ミ出デ
 戯レル指先ヲ解イテ
 深紅ニ染マル頬ヲ放チ
 狂オシイ甘美ノ時ヘ)


3.
透ける肌の少年を
欲望し欲情し離さないで
愛に踊れ アリスたち
その吐息の牢獄を祝福できる日まで

透ける肌の少年と
恍惚と絶頂に果てないで
哀に溺れ アリスたち
その閉ざせし間隙が聖杯となる日まで

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渋谷スクランブル

人一人殺してやりたいと
朦朧と願うことはわりと自然で
いっそローラーでぷちぷちと潰してまわろうかと屋外ビジョンを眺め

ふと背後を振り返れば
其処には殺してやりたいお前がいる

「おはよう」
などと笑いながら
今日もまた
殺されていく

お前が俺を殺していく
日々刻々
カレンダーを捲りながら

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詩「生きてまた死に逝く墓標で」

蝉の声が絶えて久しい
今年も夏が過ぎ、またいくつかの台風と暴雨が忘れられていく
 
雨の日は図書館がいい、集中できるから
とは数少ない友人の言葉
まるでゲームかアニメのように
黒ぶちの丸メガネをかけたセーラー服で呟いていた
 
果たして学生とは
希望も不安も他所に
生に満ちていた
 
翻って今はどうだ
30年を過ぎ、何もせずに過ぎ行く日々
緩慢に迎える死

耐えて輝く蝉ではなく
もはや抜け殻を保存するように
数十年の先を無為に流す

それでいいのか
それがお前の望みか

問われ自問し答えなどなく
ただ季節外れの空調が響く
 
活字こそが知の源泉だと
信じた日々は遠く
いまや得るものとてない惰性こそが
この書の廃墟を形作る
 
何を視る
何を知る

諦観という名の台風の目に
惰弱な脳とて安逸を得て
ただ老い逝くだけの肉体を
恨みこそすれ省みず
 
何を遺す
何を示す

ありもしない期待を望み
ありもしない能を望み

悔いるほどの何ほどもなく
アルコールとニコチンに溺れ

ただそれを望むのか
それともそれに甘えるのか

ルソーもピカソも遠く
漱石ユートピアは満州に消え
そんなことさえも気づかずに
何を描く、何を語る
 
所詮言葉は記号でしかなく
記憶は欺瞞でしかなく
記録は残骸でしかなく
 
ただネクタイに追われ
また家事に沈み
何を騙るか
何を識るか
 
ただ息をし
ただ視を向け
ただ歩き
ただ止まり
 
夏は終わり
祭は終わった
 
流されることなく
止まることなく
 
何を視
何を変える

知の墓標たる図書館に
今日もまた訪れる者一人

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